[Mew-dist 2432] Re: <IM> Return-Path's handling (long)

Takahiro Kambe taca at example.com
1997年 10月 9日 (木) 20:34:55 JST


In message <19971009155318X.kazu at example.com>
	on Thu, 09 Oct 1997 15:53:18 +0900,
	Kazu Yamamoto (山本和彦) <Kazu at example.com> wrote:
> From: Takahiro Kambe <taca at example.com>
> Subject: [Mew-dist 2406] <IM> Return-Path's handling (long)
> Date: Wed, 08 Oct 1997 22:38:05 +0900
> 
> > 言葉を一通り整理します。
> 
> FAQ に載ると嬉しいな。> 担当者
若干修正してみました。後は好きに変更して頂いて構いません。

o MTA
	Message Transfer Agentで、メールの配送を担うエンティティ、
	これらが協調してMTS(Message Transfer System)を構成する。

o MUA
	Message User Agentで、メール・システムの利用者(人やプログ
	ラム)の意志を反映して、メッセージの送信、取り込みを行う
	エンティティ

o モデルとしてのMUA/MTA
	この区別はあくまでもモデルとしてのものであり、sendmailにし
	てもMTAの処理の大半を行うのは確かだが、MUA的な処理も行って
	いる。現実の実装では厳密に区別されるものではない。

o メッセージ
	MUAからMTAまたはMTAからMTAの間で送られるメールとして送られ
	るもので、実際はエンベロープの部分とコンテンツから成る。

o エンベロープ
	メッセージに含まれる、送信者や受信者等を含む部分。本質的に
	MTAが配送に利用するための情報で、MUAが送るメールの本体(コ
	ンテンツ)とは別のものである。
	通常のメールを読み書きするプログラムからは、一部のヘッダに
	残骸として見えるか、まったく見えない。

	- Return-Pathにエンベロープの送信者
	- Receivedヘッダのオプショナルなforに続けて、その時点での
	  エンベロープの受信者

	エンベロープの送信者や受信者は別名の処理やメーリングリスト
	の処理によって書き換えられることがある。

	(SMTPではMAIL/RCPTコマンドでやりとりされる情報、X.400では
	プロトコル上でやりとりされる情報。)

o コンテンツ
	MUAからMTA、またはMTAからMTAの間でやりとりされるメール本体
	で、通常で言うところのメールのメッセージに相当する。
	SMTP的には最初の空行で区切られたヘッダとボディから構成され、
	RFC822で定義されたものがベースである。

	(SMTP的にはメモ・ベースの内容であるが、MIMEにより構造化した
	内容を扱う。X.400では元々構造化された内容を扱える。)

o ヘッダ
	コンテンツのうち、MUA等が利用する付加情報を含む部分。

  - ヘッダとエンベロープ
	From, Sender, To, Cc, Bccといったヘッダに指定される送受信
	者とエンベロープの内容は、一致していない場合も存在する。

	ヘッダの送信者や受信者はポスティングの時点や、何らかのポリ
	シーに基づいた書き換えが行われる場合を除いて、基本的には書
	き換えられない。

  - ヘッダとポスティング
	MUAから最初のMTAへの送信であるが、SMTPでは明示的な区別は
	なされていない。以下の処理はポスティングの段階で行うべきこ
	とである。

	* RFC822で必須なヘッダを付加(MUA & MTA)
	* アドレスの補完、整形、正規化

	特別なメールのゲートウェイ等を行う場合を除いて、これらの
	情報はポスティング時以外に書き換えられるべきではない。

  - ヘッダとMTA
	MTAから最終的なMTAまで配送される課程では、ヘッダに対して
	行う処理は以下の処理に限定される。

	* トレース・ヘッダ(Received)の付加

  - アドレスのポリシーに基づいた書き換え
	自分の組織のアドレスを、何らかの目的で積極的に書き換える
	場合は、一種のメール・ゲートウェイの延長と解釈できる。

  - 最終的なメールの配送
	ユーザのメールボックスに格納する段階であり、SMTP的には
	エンベロープの送信者を値としたReturn-Pathヘッダを付加する。

	最終的な配送でない段階でのReturn-Pathヘッダの付加は正しい
	処理ではない。

o ボディ
	コンテンツのうち、ユーザが送付する本文に相当する部分。

o UNIX From行
	mail.local(/bin/mail)でメッセージの区切りを表す行で、メッ
	セージ本体ではない。(RFC822的な規則にも従っていない。)

	"From "で始まることになっているため、本文に同じパターンで
	始まる行の扱いが問題となるケースがある。

o 最終的なメールの配送
	sendmail的な世界ではmail.local(/bin/mail)やprogram mailer
	に渡されて、処理が成城に完了した段階で終了したことになる。

--
神戸 隆博(かんべ たかひろ)
PGP Fingerprint: EB 8B D9 87 48 10 77 AA  57 EC FC B8 A3 07 64 3A



Mew-dist メーリングリストの案内