注:今回は、いつものような楽しいダイビングの記録ではない。 神子元で起こった事件の話である。
9月11日の早朝、僕は jinmei さんと共に神子元ハンマーズの船に乗船していた。 心配された台風19号は消滅し、絶好のダイビング日和。 風は 2.5m とやや強く、水面にはウネリがあるが、神子元にすれば穏やかな方だ。
昨年乗った福丸よりも神子元ハンマーズの船は速い。 15分程でカメ根に着いた。 福丸は先に来て、これからダイバーが潜ろうとしているようだった。
水面で集合し、一斉潜行。 透明度は悪くない。 すぐさまカメ根に捕まりサメを探す。 速い海流がカメ根に当り複雑な流れが生まれる。 その状況は、自分が吐いた泡が自分の周りを回っていることから判断できる。
しばらくして我々のガイドは根待ちを諦め、ドリフトを開始した。 当たり前のようにダウンカレントに突っ込んでいく。 数十秒単位でアップとダウンが入れ替わる状況。 僕にはそれを楽しむ余裕があったが、 jinmei さんには厳しかったらしい。 エアーがあっという間に減っていったようだ。
結局サメは現れず、安全停止をして浮上。 船は乗船用のリフトを下ろしているが、 波が荒れてそれに捕まるのも一苦労だった。 帰る途中で聞いた話では、サメを見れたチームもあったようだ。
我々を乗せた第一便が 9:40 に帰港すると、 すぐさま後発組が乗り込み第二便が出向。 第三便は 11:00 なので、それまで日蔭で休んでいた。
jinmei さんはのんきに寝ていたが、 起きている人の間では福丸とタートルフラワーが帰ってこないことが話題になっていた。 「ひょっとしてダイバーを拾うのに手間取っているのではないか」と。
11:00 に第二便が帰ってきた。 乗り込もうとしていると、「福丸の客が流されたので捜索に行く」と言う。 「見付かったら、すぐにダイビングを再開するので、それまでショップで待て」とのこと。 車に分乗して、ショップに戻った。
神子元ハンマーズの施設で昼食をとりながら聞いた話では、 第二便の人達は潜っていないらしい。 捜索の要請が来たので、引き返して来たそうだ。 流されたのは二名で、 性別やどのショップを使っていたかは不明だった。
13:00 になっても発見できず、 神子元ハンマーズはダイビングを中止した。 今日中に発見できなければ明日も中止だそうだ。
ギアを引き上げに港へ向かう車の中で、 神子元へ飛ぶ捜索のヘリコプターが見えた。
海上保安庁 下田保安部の発表や、 その他の報道機関からの情報から得た情報は以下の通り。
神子元に6〜7年通っており、当日福丸に乗り合わせていた T さんから聞いた話:
9/28 の海上保安庁下田保安部からの発表:
9/30 の海上保安庁下田保安部からの発表:
昨年、福丸にお世話になった経験からすると、福丸には問題はないと思われる。 波が高くなれば、航海を中止するなど、適切な対処をとっていた。
ショップに問題があったのかは分らない。 ただ、我々が身を守るために知るべきなのは、 ガイドにも力量やスタイルの差があるということだ。
昨年お世話になったドルフィンウエーブのガイドは、 上手にダウンカレントを避けてドリフトしていた。 神子元ハンマーズのガイドは、ダウンカレントに飛び込んでいく。 海の状況は異なるので、単純には言えないが、 後者のスタイルの方が厳しいことは明らかだ。
一方で、 神子元ハンマーズはダイコンやフロートを持っていない客は連れていかない。 ドルフィンウエーブは、30本の客も連れて行く。 去年は、一緒に潜った30本の客がはぐれてしまった。 船に拾ってもらっていたので、事なきを得たが。
結局のところ、最後に自分の身を守れるのは、 自分自身しかないことを肝にめいじないといけない。
撞木ザメの群れは、ダイバーにとって憧れの的である。 神子元は、都心に近いこともあり、世界でも有数の撞木ザメポイントとなっている。
しかしながら、神子元でのダイビングは危険と隣り合わせだ。 技術の足りないダイバーは絶対に行くべきではない。 うまくなってからでも決して遅くはないのだし、 身の安全が一番大切なのだから。
神子元のダイビングは、一応50本が目安と言われているが、 本当はそれでも少ないかもしれない。 (ちなみに、僕は 80 本を越えてから行った。 僕はボートダイビング専門。 速い流れの中でのドリフトの経験もあった。)
以下に必要な技術を挙げておく。 少しでも不安がある場合は、止める方がいいだろう。