暗号メールと電子署名
この本は、PGPの使い方を分かりやすく解説しているとともに、暗号の歴史や仕組み、また、規制などについても触れています。インターネットでのプライバシーについて学ぶための決定番です。
書籍情報
PGP :: 暗号メールと電子署名 Simson Garfinkel 著 山本和彦 監訳 株式会社 ユニテック 訳 John Mendenhall 表紙デザイン 株式会社オライリージャパン 発行 ISBN4-900900-02-8 5,202円

目次
- PGP の概要
- PGP の基礎
- 暗号の基礎
- 暗号の歴史と政策
- PGP 以前の暗号
- PGP の歴史
- プライバシーと公共政策
- 暗号の特許と輸出規制
- PGP の使用法
- ファイルの保護
- PGP 鍵の作成
- PGP 鍵の管理
- PGP 鍵の作成
- 電子メールの暗号化
- 電子署名の使用法
- 鍵の証明と配布
- 鍵の削除、利用の停止、鍵の寄託
- 設定ファイル
- インターネット鍵サーバ
- 付録
- PGP の入手方法
- PC へのインストール
- UNIX システムへのインストール
- Macintosh へのインストール
- PGP のバージョン
- 暗号の数学
- PGP における日本語の問題
献辞
1994年10月16日の昼下がり、Harvard 大学 Hillel 財団の中庭で、
私は Elisabeth C. Rosenberg と結婚した。
この本の作業のせいで結婚式の作業ははかどらなかったが、
イスラエルへの新婚旅行は大丈夫だと Elisabeth に約束していた。
約束の地から帰った後に、私の妻はこの献辞を目にし、
そして、微笑んでくれるのではないかと期待している。
S.L.G.から E.C.R.へ 1994年10月16日
監訳後記
Simson に会ったことはありませんが、原文を読むと彼がロマンティストであることが痛い程分かります。たとえば、謝辞の原文は次のような文章です。
On the afternoon of October 16, 1994, in the courtyard of the Harvard University Hillel Foundation, I was wed to Elisabeth C. Rosenberg. Although the preparation of this book did interfere with the planning of our nuptials, I have promised Beth that it will not interfere with our honeymoon in Israel. After we return from the Promised Land, I hope that my new wife will look at this dedication to her --- and smile. S.L.G. to E.C.R., October 16, 1994
おせっかいながら、この文章の素晴らしさについて触れておきます。まず、第1文ですが、自分の結婚式から始めることによって、読者の注意を引き付けています。これ程心を掴む導入は珍しいでしょう。
On the afternoon of October 16, 1994, in the courtyard of the Harvard University Hillel Foundation, I was wed to Elisabeth C. Rosenberg.
そして、次がこの献辞を非凡に変える一文です。
Although the preparation of this book did interfere with the planning of our nuptials, I have promised Beth that it will not interfere with our honeymoon in Israel.
わざわざ、interfere を2回繰り返してリズムを生み、そして、promised と Israel という単語を使っています。この意図がお分かりになるでしょうか?次に第3文を示します。
After we return from the Promised Land, I hope that my new wife will look at this dedication to her --- and smile.
第3文では、先の promised を受けて、the Promised Land が登場します。2回目の繰り返しですね。また、最後の smile では、ダッシュを引くことで余韻を残しています。「献辞を見る」という単語に watch でも see でもなく look を使っているのは、smile の後に "at me" が隠されているからです。これが、3番目の繰り返しです。さらにいえば、Beth に捧げるという文章で、最初に出した日付を繰り返しています。
S.L.G. to E.C.R., October 16, 1994
この献辞は、一単語たりとも削れない、完全な美しさと調和を湛えています。この本の多くの部分は訳者の翻訳を監修したのですが、献辞は私が訳しました。訳したときは、本を目の前にして1時間ぐらい腕組をしていたものです。訳さない方が良いのではないかという考えが何度も頭をよぎりました。実際に、訳は原文の良さを半分も伝えられていないのではないかと思います。第2刷からは、この原文も監訳書に印刷されています。:)