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1 はじめに読んでね
Mew とは、テキスト・メールやマルチメディア・メール(MIME)、ニュース、セ キュリティ機能(PGP、S/MIME、SSH、SSL)を便利に利用するためのユーザインター フェイスです。最新の検索サービスとも連動します。
Mew は 「Messaging in the Emacs World」 の略です。先頭の M は大文字で表 記し、「みゅう」と読みます。M で始まるかわいらしい単語を選んだ結果 Mew になりました。決して漫画の題名や某アイドルの歌、あるいは、関西の会社に 因んでいるわけではありません。:p
1.1 Mew の特長 | ||
1.2 Emacs のバージョン | ||
1.3 モード | ||
1.4 フォルダの種類 | ||
1.5 初期設定 | ||
1.6 パスワード | ||
1.7 起動 |
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1.1 Mew の特長
Mew バージョン 6.9 の特長を以下に示します。
- - 複雑な構造を持つメッセージを簡単に表示できます。メッセージを表示する作 業は、‘SPC’ を押すだけです。
- - コピー程度のファイルの操作を知っている人ならだれでも簡単に複雑なメッセー ジを作成できます。
- - メッセージの一覧表示が終了するまで待たなくても、メッセージを読み始めら れます。
- - Summary モードのメッセージの一覧を保存しているので、フォルダを移動した 場合は、更新された部分だけを一覧表示します。
- - メッセージの整頓先を賢く推測します。たくさんメッセージを受け取る人は、 これがないと生きていけません。
- - Draft モードでは、フィールド名、メールアドレス、氏名、ドメイン名、フォ ルダ名を補完できます。
- - キーワードなどによって、探したいメッセージを簡単に検索できます。
- - PGP や S/MIME で暗号化されたメッセージを自動的に復号化します。また、電 子署名を自動的に検証します。
- - MIME の構造を解析したり、PGP や S/MIME の署名を検証したりするのには少し 時間がかかります。そこで、ユーザがあるメッセージを読んでいる間に、次の メッセージをあらかじめ処理しておくことで高速性を実現しています。解析さ れたメッセージは、しばらくの間保存されます。
- - PGP や S/MIME を使って、メッセージを簡単に暗号化したり、署名したりでき ます。
- - 複数のフォルダを 1 つのフォルダに見せかけられます。
- - メッセージのやり取りの流れを可視化するセレクションやスレッドの機能を備 えています。特定のキーワードに合致したメッセージでセレクションを作り、 さらにそのスレッドを作成できます。
- - フォルダ名を入力する場合、フォルダ名の一部をキーとして検索できます。
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1.2 Emacs のバージョン
Emacs 26.1 以降を使って下さい。これらより前のバージョンや XEmacs は、サ ポートしていません。
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1.3 モード
Mew には次の 7 つのモードがあります。
- ‘Summary モード’
メッセージの一覧を表示し選択するモード。
- ‘Virtual モード’
単数あるいは複数のフォルダからある条件に合致したメッセージを取り出し、 仮想的に 1 つのフォルダにしたモード。Summary モードに似ている。 セレクションやスレッドと呼ばれる。
- ‘Message モード’
メッセージの内容を表示するモード。
- ‘Draft モード’
メッセージの送信、返答、転送を準備するためのモード。
- ‘Header モード’
既存のメッセージのヘッダのみを編集し送信するためのモード。
- ‘Edit モード’
既存のメッセージを編集し、新しいメッセージを作成するためのモード。
- ‘Addrbook モード’
アドレス帳にエントリを登録するためのモード。
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1.4 フォルダの種類
Mew の用語では、メッセージが届く場所を「メールボックス」と呼びます。メー ルボックスの種類としては、ローカルのメールボックス、POP サーバ、IMAP サー バ、および NNTP サーバがあります。
また、Mew 自身がメッセージを格納する箱のことを「フォルダ」と呼びます。 フォルダ名は、一文字の記号からなる修飾子と文字列が連結された形式になっ ています。たとえば、「+inbox」というフォルダの修飾子は「+」です。
Mew のフォルダには、「ローカル・フォルダ」と「リモート・フォルダ」の 2 種 類があります。
ローカル・フォルダとは、Mew が動いているコンピュータに「本物」が作られ るフォルダです。そのフォルダに格納されるメッセージも本物です。(ですから、 もしそのフォルダのメッセージを消してしまうと復元できません。)
ローカル・フォルダの修飾子は "+" です。以下に特殊なローカル・フォルダを 挙げます。
- ‘+inbox’
ローカルのメールボックスや POP サーバに届いたメッセージを、ローカルに移 動させて最初に保存するためのローカル・フォルダ。メッセージを整理する場 合は、"+inbox" から他のローカル・フォルダに移動させることになる。
- ‘+draft’
書きかけのメッセージを保存しておくローカル・フォルダ。
- ‘+queue’
書き終わってメールの配送に適した書式に変換されたメッセージが溜るローカル・ フォルダ。"+queue" のメッセージは、いずれ SMTP によって送信される。
- ‘+postq’
書き終わってニュースに投稿するのに適した書式に変換されたメッセージが溜る ローカル・フォルダ。"+postq" のメッセージは、いずれ NNTP によって送信さ れる。
リモート・フォルダとは、サーバ側にあるフォルダをローカルにコピーしたも のです。本物のメッセージはあくまでサーバ側にあり、ローカルにはメッセー ジのコピーがキャッシュされます。
利用できるリモート・フォルダの修飾子を以下に示します。
- ‘%’
IMAP のフォルダ。例:"%inbox"
- ‘$’
POP サーバのサーバ側のフォルダ。例:"$inbox" (POP サーバのフォルダは 1 つしかないので、"$" で始まるリモート・フォルダは "$inbox" のみ。)
- ‘-’
ニュースのニュースグループ。例:"-fj.mail.reader.mew"
サーバが異なれば、リモート・フォルダの実体も異なります。複数のサーバは、 ケースという機能を使って指定します。詳しくは、See section 送受信の動作変化 を参照して 下さい。あるケースに対するリモート・フォルダは、"case:folder" のように、 フォルダ名の前にケース名を付けて指定します。ケースが "default" である場 合は、"case:" の部分を省略可能です。
ケースと修飾子の組は、あるメッセージが属す世界を構成しています。メッセー ジは、それが属す世界の中を移動できます。受け取ったメッセージは、後で探 しやすいように、適切なフォルダに移動させて保存します。この整頓の方法に ついて、See section 楽々整理整頓 を参照して下さい。
なお、POP サーバには "$inbox" というフォルダしかありませんから、"$" の 世界でメッセージを移動させることはできません。また、ニュースの記事は自 分のものではありませんから、"-" の世界でもメッセージの移動は不可能です。
世界を超えてメッセージを移動させたい場合は、コピーします。ただし、コピー 先はローカル・フォルダに限定されます。この方法は、See section メッセージの取得 で説 明されています。
フォルダのリストを作成しておくと、フォルダ名に対し補完が利用できて便利 です。フォルダのリストを作成する方法は、See section 状態の更新 を参照して 下さい。
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1.5 初期設定
Mew を起動するには、組織の設定ファイルか自分の "~/.emacs" に以下の設定 が必要です。
(autoload 'mew "mew" nil t) (autoload 'mew-send "mew" nil t) ;; Optional setup (Read Mail menu): (setq read-mail-command 'mew) ;; Optional setup (e.g. C-xm for sending a message): (autoload 'mew-user-agent-compose "mew" nil t) (if (boundp 'mail-user-agent) (setq mail-user-agent 'mew-user-agent)) (if (fboundp 'define-mail-user-agent) (define-mail-user-agent 'mew-user-agent 'mew-user-agent-compose 'mew-draft-send-message 'mew-draft-kill 'mew-send-hook))
Latin-1 のために、Emacs を –unibyte オプション付で起動しているか、環境 変数 EMACS_UNIBYTE と共に起動している場合、以下の設定を "~/.emacs" に入 れて下さい。
(set-language-environment "Latin-1") (set-input-method "latin-1-prefix") ;; or "latin-1-postfix"
Latin-1 のために、以下のような設定をしているなら、削って下さい。これは Latin-1 にカスタマイズするための方法としては推奨されていませんし、この 設定では Mew は正しく動きません。
(standard-display-european 1)
Mew は起動時に、"~/.mew.el" を読み込みます。Mew に関する設定は、このファ イルに入れるとよいでしょう。
メールアドレスを指定するために、以下の設定が必要です。
;; (setq mew-name "your name") ;; (user-full-name) ;; (setq mew-user "user name of e-mail address") ;; (user-login-name) (setq mew-mail-domain "domain of e-mail address")
SMTP を使ってメッセージを送信するためには、以下の設定が必要です。
(setq mew-smtp-server "your SMTP server") ;; if not localhost
POP を使ってメッセージを受信する場合は、以下の設定が必要です。
;; (setq mew-pop-user "your POP account") ;; (user-login-name) (setq mew-pop-server "your POP server") ;; if not localhost
メッセージの受信にローカルのメールボックスを利用したい場合は、以下のよ うな設定が必要です。
;; To use local mailbox "mbox" or "maildir" instead of POP (setq mew-mailbox-type 'mbox) (setq mew-mbox-command "incm") (setq mew-mbox-command-arg "-u -d /path/to/mbox") ;; If /path/to/mbox is a file, it means "mbox". ;; If /path/to/mbox is a directory, it means "maildir".
IMAP を使ってメッセージを受信する場合は、以下の設定が必要です。
(setq mew-proto "%") ;; (setq mew-imap-user "your IMAP account") ;; (user-login-name) (setq mew-imap-server "your IMAP server") ;; if not localhost
ニュースを読み書きする場合は、以下の設定が必要です。
;; (setq mew-nntp-user "your NNTP account") (setq mew-nntp-server "your NNTP server")
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1.6 パスワード
メッセージを送受信したり、PGP や S/MIME を使ったりする場合には、パスワー ドを訊かれることがあります。パスワードを入力する前に以下の条件のどちら かが満たされていることを確認しましょう。
- - Emacs が目の前のコンピュータで動いている
- - Emacs が遠隔のコンピュータで動いているが、なんらかの暗号手段を使って通信 している。
どちらの条件も満たされない場合は、パスワードを入力しないで下さい。入力す ると盗聴される恐れがあります。
パスワードを何回も入力するのが面倒な人は、パスワードを保存する機能を利用 して下さい。2 つの方法があります。
- パスワードをメモリに一時的に蓄える。ファイルには書き出さない。
- パスワードをメモリに Mew が起動している間中蓄える。Mew/Emacs の終了時に、 パスワードを暗号化しファイルに書き出す。
1. の機能を利用するには、以下のように設定します。
(setq mew-use-cached-passwd t)
2. の機能を利用するには、まず GnuPG をインストールします。GnuPG は、バー ジョン 1.x、2.1.23以降に対応しています。バージョン2.1.23以降を使う場合は、 "~/.gnupg/gpg.conf" に以下の設定を加えます。
no-auto-key-retrieve auto-key-locate local
そして、以下のように設定します。
(setq mew-use-master-passwd t)
両方の変数が ‘t’ の場合、2. の機能が利用されます。
1. の機能:あらゆるパスワード(POP、PGP など)が一時的にメモリに保存され ます。パスワードが保存されている間は、パスワードの入力を省略できます。 保存されているパスワードは一定時間(通常は 20 分)が過ぎると消去されます。 ただし、保存されているパスワードが内部で利用されると、保存期間が延長さ れます(20 分に戻ります)。
2. の機能:Mew の起動時に、マスターパスワードを訊かれます。Mew はそのマ スターパスワードで、暗号化されているパスワードを復号化し、メモリに蓄え ます。たとえば、以前 POP のパスワードを入力していれば、それがメモリに蓄 えられていますから、次に POP のパスワードが必要な際、POP のパスワードの 入力を省略できます。はじめてマスターパスワードを利用する際は、確認のた めマスターパスワードを 2 回訊きます。また、たとえば POP のパスワードも 1 回だけ入力するように促されます。Mew の起動時に、間違ったマスターパスワー ドを入力することもあるでしょう。その場合、1. の機能を有効にしているなら、 1. の機能が使われます。有効でなければ、パスワードの保存機能は利用されま せん。
マスターパスワードを変更するには、Summary モードで ‘C-cC-m’ と入力 します。
メモリに保存されているパスワードは、暗号化されていません。そこで、1. ま たは 2. の方法を使う場合は、他の人に自分が起動した Emacs を触られないよ うに気をつけて下さい。もし席を空け、Emacs をよく知っている他の人に Emacs を操作された場合、パスワードを盗み取られる可能性があります。
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1.7 起動
Mew を起動するには、以下の方法があります。
- ‘M-x mew’
Mew が起動していなければ、まず Mew を起動する。そして、メッセージを取得 するか、あるいは単にデフォルトのフォルダへ移動する。
まず、「修飾子」は ‘mew-proto’ とケースから決定される。 (See section 送受信の動作変化 を参照)
「修飾子」が ‘+’(ローカル・フォルダ)なら、‘mew-mailbox-type’ からメールボックスが決定される。(See section メッセージの取得 を参照) その他、すな わちリモート・フォルダなら、メッセージを取得するためのプロトコルが修飾子 に応じて決まる。
‘mew-auto-get’ が ‘t’ なら、到着したメッセージが非同期に取得さ れ、Summary モードへ一覧表示される。
‘mew-auto-get’ が ‘nil’ なら、修飾子によって決定したデフォルト のフォルダへ単に移動する。
- ‘C-uM-x mew’
‘mew-auto-get’ の値を逆だと考えて、‘M-x mew’ を実行する。
- ‘C-xm’
‘mail-user-agent’ が設定されている場合、Draft モードへ移行する。
Emacs で Mew を起動すると可愛い 2 匹の子が猫現れます。
なお、Mew を終了する方法は、See section 一休み を参照して下さい。
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