KAME プロジェクト便り

山本和彦
IIJ 技術研究所
BSD Magazine No. 5 (2000/09)


第5回 イベント報告

6、7月はイベントの季節。 N+I 2000 や INET 2000 では、IPv6 が主役だったと言っても過言ではないでしょう。 今回はこれらのイベントについて、報告します。


N+I

N+I 2000 Tokyo は、6月7日から9日にかけて幕張メッセで開催されました。 基調講演で、慶応大学の村井先生が IPv6 時代の到来を強調したこともあって、 IPv6 が注目を集めました。

各出展社ブースには IPv6 の接続性が提供されていました。 このような試みは、世界をまわる N+I の中でも、 東京が初めてです。 また IPv6 のために 135M の対外線が大手町(NSPIXP6)まで確保されていました。

公衆端末はすべて IPv6 に対応していました。 その内 Windows 2000 を搭載した PC には、マイクロソフトから N+I 用に特別に提供して頂いた IPv6 対応の Internet Explorer を組み込みました。

公衆端末エリアでは、自分のノートブックを繋げるように、 RJ45 コネクタも用意されていました。 IPv6 の接続性しかない公衆端末/コネクタもありました。

マイクロソフトがスポンサーとなり、 「IPv6 ShowCase」という IPv6 専用のブースも用意されました。 このブースには、 WIDE Project、TAHI Project、Kondara Project が協力して下さいました。

参加企業/団体は、IIJ、ウェーブテック・ワンデル・ゴルターマン、 NEC、Cisco、デジタルファクトリ、日本 HP、日立、富士通、マイクロソフト、 松下電送システム、ヤマハ(順不同)です。

展示としては、バックボーンルータを設置したルータラックが 2 本、 かわいらしい SOHO ルータが 3 つ、それから BSD、Linux、Windows 2000 などのホス トを用意しました。

松下電送システムは、1394 テレビのプロトタイプを展示しており、 実際にビデオストリームをIPv6 を使って流していました。 また、KAME (NetBSD) と Kondara Linux の間では、Quake で対戦ゲームをやりました。

また、IPv6 ShowCase では、1 時間毎にIPv6 の技術者による発表があり、 各企業の製品の特徴やIPv6 に関する戦略を説明しました。 これらの発表は大変な好評を博し、隣のブースに迷惑な程観客を集めました。


INET 2000

INET に先立つこと 1 週間、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで、 NTW(NetworkTraining Workshop) が開催されました。 発展途上国の方を招いて、インターネットを構築する技術を集中的に教えます。

WIDE/KAME Project は、6つのコースの内 2 つ対して、 IPv6 を教える時間を頂きました。萩野と私が講師となり、 7 月11日と13日にそれぞれのコースで弁をふるいました。 資料は、ここにあります。

INET 2000 は、7月19日から21日にかけて横浜パシフィコで開催されました。 もちろん、すべてのネットワークが IPv6 に対応していました。 特筆すべきは、無線ネットワーク(IEEE 802.11)でしょう。 会議場や展示会場のみならず、インターコンチネンタルホテルでも利用可能でした。

N+I と同様に、展示会場では IPv6 ShowCase を設営しました。 今回はマイクロソフト、日立、そして NEC のスポンサーのもと、 新たに SUN、YDC、NTTCommunications、富士通研究所が参加しました。

N+I と違ったデモとしては、グループ通信が挙げられます。 NTT Communications、は従来のマルチキャストを使って、 パロアルトと会場を結び、IETF の IPng 分科会の 2 人の議長に会話してもらいました。また、富士通研究所は Xcast という新しいグループ通信の仕組みを使って、ビデオ中継やゲームをデモしていました。